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「家庭裁判所調査官」という仕事


私は、これまで20年間、家庭裁判所調査官として働いてきました。


「家庭裁判所調査官」という職種をご存じでしょうか?


ここでは、家庭裁判所調査官がどのような仕事をする人かご紹介し、

私のバックボーンについてお話したいと思います。



家庭裁判所調査官というのは、「家庭裁判所」に配属される人間関係諸科学の専門家です。


そもそも、裁判所というのは法律にのっとって問題を解決するところですが、

「家庭裁判所」は、他の裁判所と違い、家庭内の紛争を一手に引き受けて解決する裁判所です。



家庭内の問題は、

法律だけで白黒つけることが難しかったり、

現在の問題解決だけでなく、将来を見通して解決策を考える必要があったり、

問題の背景にある人間関係や環境を考慮した解決が求められたりすることから、

法律の専門家である裁判官を補佐するために、

人の心や家族関係に詳しい専門職が必要だと考えられるようになりました。

そうして誕生したのが「家庭裁判所調査官」です。



家庭裁判所調査官(補)として採用されると、

最初の約2年間は修習生として、さまざまな研修を受けます。


心理学、教育学、社会学、医学などの基礎知識の習得、

ロールプレイを通しての体験学習、

事件を担当しながらのケース理解、面接指導や報告書作成指導などを受け、

家庭裁判所調査官としてひとり立ちするための知識と技術をみっちりと叩きこまれます。


しかし、

こうした基礎研修を終えても、まだまだ一人前の仕事ができるわけではありません。


引き続き、

ベテランの家庭裁判所調査官から指導を受けたり、同僚と切磋琢磨して、さらなる向上に努めます。

そのための研修が毎年複数回用意され、

節目の年にはさらにスキルアップするための特別研修が組まれています。


人を相手にする仕事である以上、

また、法律や世の中の家族観がどんどん変わっていくものである以上、

常に学び続け、スキルアップし続けることが求められます。



また、家庭裁判所が扱う事件には何十もの種類があり、

家庭裁判所調査官が関与するのは、そのうちのごく一部です。



関与の仕方にも軽重あるのですが、

一般に、

①当事者が心理的に不安定だったり、心理的サポートが必要な場合、

②子どもの福祉を考える必要がある場合、

③問題解決のために何らかの働きかけが必要な場合などに、関わることが多かったように思います。



関与の目的としては、

①当事者の対立が激しく容易に解決しない状況にあるとき、

対立の背景を分析し、解決の道筋を見つけ、対立する人たちの気持ちを調整し、解決に導くこと

②家庭裁判所が判断・決定する事柄について、

現状を確認し、将来予測をしながら、望ましい結論について意見を述べること

③家庭内で起こるさまざまな問題について、

問題の背景にある人間関係や環境を分析し、望ましい解決に導くこと

などがありました。



こうした役割を果たすためには、

現状を的確に把握する力、

問題を正しく分析する力、

解決の方策を見つける力、

関係者に説得力を持って説明する力、などが必要です。



こうした力を身につけるために、

日々、自分の課題と取り組み、スキルを磨いてきました。



もちろん、

時には、スムーズに解決の方向に進まず苦労したこともありますし、

解決策が見つからず途方に暮れたこともあります。

必死に考えた解決案も、すぐには受け入れてもらえず、がっくりきたこともありました。


そんなうまくいかなかったケースを一つ一つ振り返り、

何が足りなかったのかを考えて、次に生かすことを繰り返す中で、

少しずつ解決に向かうポイントや関わり方のコツを身につけていったように思います。





いま、私は、家庭裁判所を退職し、カウンセラーとして第二の仕事人生を歩み始めています。


臨床心理士や公認心理師の資格を持っていたことも転職を後押ししたのですが、

それ以上に、

これまで培ってきた私の知識やスキルが、

広く、家族の問題を抱えて困っている人たちに役立てられるのではないか。

それが、今回、カウンセラーになろうと思ったきっかけです。


私は、多くの家族に、笑顔とぬくもりを届けたいという想いを持っています。


家庭裁判所で働いていたとき、

家庭内がうまくいっていないことは、

相当強く、そして長く、人の心にダメージを与えるのだと感じてきました。


そして、

大人たちが笑顔をなくすと、

子どもたちの笑顔もなくなってしまうことに気づきました。


そうしたつらい状況にいる家族を一人でも多く救いたい。それが私の志です。


私にできることは、結局のところ、ごくわずかなことかもしれません。

それでも、

困難な状況にあきらめず、

困っている人たちの支えになり続け、

家庭の問題を円満に解決するためにはどうしたらいいか、一緒に考えていきたいと思っています。

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