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夫婦の発達課題~幸せな夫婦になるために必要なステップ~

 夫婦関係は、人生の中で最も大切な関係の一つですが、同時に最も難しい関係でもあります。夫婦として成長していく過程には、二人で協力して乗り越えるべき課題があります。

 このコラムでは、結婚した二人が幸せな夫婦になるために必要なステップについてご紹介します。


1 結婚前

 結婚前に、ひとりの大人として社会的・精神的に成熟していることが望ましいです。そのためには、次の3つの課題を達成していることが期待されます。


  1)職業選択と経済的自立

     自分の適性に合った職業を選択し、経済力を身につけていること

 

  2)友人や恋人との親密な関係作り

 浅く広い付き合いの中から、とりわけ親しい友人ができたり、異性との交際を通じて、他者と深い付き合いができるようになっていること


  3)親や実家からの心理的自立

 生まれ育った家庭の習慣や両親から受け継いだ価値観を見つめ直し、自分なりの考えや価値観を持っていること


2 新婚期

 結婚して夫婦としての生活が始まると、次の3つの課題に取り組むことになります。また、夫婦の将来を考えるうえで4つめの課題が重要になってきます。


 1)夫婦としての家庭生活と、友人や仕事とのバランスを取ること

 夫婦としての家庭生活は、二人の幸せの基盤です。しかし、それだけに集中してしまうと、自分自身や相手の成長や充実を妨げてしまうことがあります。友人や仕事など、夫婦以外の人間関係や活動も大切にしながら、家庭生活とのバランスを取ることが必要になります。


 2)二人の間でのルール作り

 夫婦それぞれが、自分なりのルールや独自の価値観を持っています。結婚後は、互いの考えや価値観を共有し、それを踏まえて、夫婦としてのルールを作る必要があります。どちらか一方の意見を採用するだけでなく、新しいルールを作る工夫も必要になってくるでしょう。


 3)相手の考えややり方に合わせたり、二人で生活することに慣れること

 たとえば、食事の時間やメニュー、睡眠時間や起床時間、家事の仕方やインテリアの選び方などは、多くの夫婦で異なることが多いものです。どちらのやり方が正しいかを議論するのではなく、それぞれが持っている考え方ややり方を尊重しつつ、二人の間のやり方を調和させるようにしましょう。


 4)子どもについて話し合っておくこと

 子どもを持つかどうか、子どもの人数やタイミングについて話し合っておきましょう。夫婦の将来設計が大きく変わってきますし、出産には年齢的なタイムリミットもあります。子どもが幼い時期の仕事をどうするか、育児の役割分担についても、それぞれの思いや考えを共有しておくとよいでしょう。


3 子育て期

 子どもが生まれると、それまで夫婦二人だけの関係だったのが、子どもを含めた三者関係になります。父、母という新しい役割が増え、夫婦は、協働して子育てを行うチームになります。そして、親子関係と夫婦関係を両輪として家庭生活を営んでいきます。この時期には、以下のような課題に直面します。


 1)親としての役割を身につけること

 親は、子どもの生命維持や身体的ケアを中心に、心身の健全な発達を促したり、教育的な関わりを行う責任があります。子どもの年齢や発達に応じて、重点的に行う役割は変わっていきますが、柔軟で臨機応変な対応が求められます。


 2)子育てをしつつ、夫婦の絆を保つこと

 良好な夫婦関係は、子どもの成長によい影響を及ぼします。また、夫婦関係が良好であれば、二人で協力して子育てを行うことができます。そのため、子育て期は、夫婦関係を良好に保つことがいっそう重要になります。一方で、子育てや仕事に追われて時間的・精神的余裕がなくなったり、子育てを通して夫婦の価値観の違いが鮮明になったりして、夫婦関係に危機が訪れることも少なくありません。


 3)親族、学校、地域との交流を深めること、関係の調整

 成長に応じて、子どもの行動範囲が広がります。子どもにとって、心身の発達や対人関係を学ぶために、家庭外との交流は重要です。そのため、家庭を取り巻く環境を整えることも、大切な親の役割であるといえます。


 4)中年危機を乗り越える

 子育て期は、親自身も自らの発達課題(中年危機)に直面します。夫婦はそれぞれ、これまで果たしてきた社会的役割を振り返り、自らのアイデンティティを再確認する作業が必要になります。


 5)親の介護の問題に対処すること

 夫婦それぞれの親が老齢になり、介護などのケアが必要になる場合があります。自らの親子関係の問題、姻族(義理の家族)との付き合い方の悩みが再燃することもあります。


4 子離れ期~老年期

 子どもが成人してからは、再び夫婦二人の関係に戻ります。自分自身や相手の老後の問題に直面し、人生の総まとめを行います。この時期には、以下のような課題があります。


1)成人した子どもを大人として尊重し、適度な距離を保つこと

 2)喪失(老化、死)を受け入れ、対処すること

 3)人生の振り返りと統合


 以上、結婚してから晩年に至るまでの間に、夫婦が直面する発達課題を並べてみました。あなたは、今まさにどんな課題に直面しているところでしょうか?


 夫婦が生涯にわたって直面する課題は実にさまざまです。それぞれの課題は決して簡単に乗り越えられるものではありませんが、課題を通して、夫婦が互いに相手を理解しようとしたり、困難を一緒に乗り越えようと努力したりすることで、夫婦の絆は強まっていきます。

 

 夫婦の発達課題は、達成すること自体が目的なのではありません。真に目指したいのは、課題を通して、夫婦が自分自身や相手を理解し、成長しあうことです。成熟した円満な夫婦関係は、こうした地道な努力を積み上げていくことで築かれていくのです。

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