愛し合って結婚した二人でも、一緒に生活し始めてから、あれ?という違和感を覚えることはよくあります。お互いの生活リズムが違ったり、日常の過ごし方や家事などの優先順位が違ったり、これまで気づかなかった価値観や考え方の違いに改めて気づくのです。お互いの「当たり前」を持ち寄って一緒に暮らし始める時期には、こうした価値観の違いが表面化して、不満を感じたり、口論になったりすることが起こりがちです。
夫婦間の摩擦が生じた時こそ腹を割って話し合い、相手に対する理解を深めて、よりよい夫婦関係を築くチャンスです。とはいえ、こうした話し合いは、それぞれ自分のやり方や価値観を押し通そうとしたり、どちらが正しいかを言い争うことにもなりがちです。
そこで、今回は、夫婦間で話し合う時の極意について解説していきましょう。
1 相手に対して感謝や尊敬を示す
まずはお互いに相手の良いところや努力を認めて、感謝や尊敬を示しましょう。誰でも、自分のことを否定的に見る人の話には、耳を傾けようと思わないものです。互いの長所を認めてそれを伝えることで、信頼関係を築き、話し合いの土台を作ることができます。
2 自分の気持ちや考えを、率直に、「私」メッセージで伝える
話し合う土台ができたら、自分の気持ちや考えを率直に話してみましょう。その時には「○○してほしい」「△△はやめて」と相手が変わることを求めるよりも、「あなたが○○してくれると、私は嬉しい」「あなたが△△だと、私はつらい気持ちになる」などと「私」を主語にして話し、自分の状況を理解してもらうことを目指しましょう。
3 相手の気持ちや考えを無理に変えようとせず、二人が協力して、互いハッピーでいられる状態を目指す
相手は、あなたとは違う考えや感じ方を持っています。相手の気持ちや考えを否定したり、無理やりあなたの考えに合わせることを強制すれば、相手は反発したり不快に思ったりするだけです。自分とは違っていても、互いの気持ちや考えを尊重し、二人とも心地よい状態でいられるにはどうしたらよいかを考えましょう。
4 相手の人格否定や過去の蒸し返しをせず、今起きている一つの行動について取り上げる
意見が折り合わないまま話し合いが平行線になると、だんだん感情的になり、「あなたはいつもそうだ」と相手を全否定したり、過去の喧嘩を蒸し返したりしがちです。感情が高ぶってきたときには、いったん話し合いを止めるか、話し合いのテーマやゴールを思い出すようにしましょう。話が他のことにまで広がると、収拾がつかなくなったり、話がかみ合わなくなったりします。一つずつ、スモールステップで話し合っていくことをお勧めします。
5 1回の話し合いで結論を出そうとせず、互いに疲れていない・落ち着いている時に話す
何度も繰り返す衝突原因であればあるほど、1回の話し合いで解決することは稀です。ある程度話し合っても結論が出なければ、いったん終わりにして別の機会に再度話し合うことも検討しましょう。時間を置くことで別の解決策に気づくこともあるでしょうし、話し合いは、互いに心のゆとりがある時に行う方が、前向きな話し合いになることが期待できます。